羊の羊による羊のための攻略Book

羊のおニート脱出日記

西の魔女が死んだ/梨木香歩

Twitterでフォローしている方が紹介されていて興味を持った本です。 

きっとそういうきっかけがなければ今の羊が手に取ることはなかったかもしれません。 

けれど読んでみるととても大切なことがギュッと詰まった本でした。 

 (調べてみたら映画もあるんですね!見てみたい。) 

 

 

 

【あらすじ】 

西の魔女が死んだ。 

まいはあの人と過ごした2年前の1ヶ月のことを思い出す。 

テレビやまんがや物語に出てくるような魔女ではないけれど、まいのおばあちゃんは本当の魔女だった。 

"魔女修行"を通して生き方を学んでゆくまい。 

これは2人の忘れられない約束の話。 

 

 

 

【特に印象的だった箇所】 

どこでも好きなところ、畑を作ってもいいですよ 

オバアチャン ノ タマシイ、ダッシュツ、ダイセイコウ 

まいはずっとここにいてもいいんですよ 

私は、まいの意思の力が弱いとおもったことはありませんよ 

 

 

 

どこでも好きなところ、畑を作ってもいいですよ 

 

畑にするためにまいが選んだ場所は、おばあちゃんにとって楽しい思い出のある場所ではありませんでした。また、実際畑に向いた場所でもありません。 

 「ここはやめましょう?ね?」と言って働きかけることもできたと思うんです。それでもおばあちゃんはそれをしなかった。 

 最初の"どこでも好きな場所をまいにあげる"という言葉を守ってくれました。 

 

 

 

オバアチャン ノ タマシイ、ダッシュツ、ダイセイコウ 

 畑の件からも、おばあちゃんはまいの意思を尊重し、一度言った事は守ってくれる人だということがわかります。 

そんなおばあちゃんが自分の死に際し、最後に果たしてくれたまいとの約束。 

物心ついたときに誰もがきっと1度は直面する、漠然とした死という概念。 

それを考えるにあたり、まいにとっても生きる上で非常に大切な課題だったのではないかと思います。 

ケンカ別れのような形になってしまっても、そこから2年という月日が経っても。 

それを覚えていてくれたこと、叶えてくれたこと。 

これがきっと、家族であり、愛なんだなぁ・・・と思うばかりです。 

まいがそれを確かに感じた描写がとても素敵です。 

 

あと。あとあと。 

個人的にはニシノマジョ カラ ヒガシノマジョ へ」という言葉も大好きです。 

自分が"西の魔女"と称されていることに、おばあちゃんはどこで気づいたんでしょう。 

それに対し「ヒガシノマジョ」という言葉でまい"魔女"として認めている・・・! 

この一文だけでまいが一人前であることの証明がされているようで、隠された意味を含んだこの表現とても好きなんですよ!!!(息切れ) 

 

 

 

まいはずっとここにいてもいいんですよ  

おばあちゃんは穏やかな生活を送る自分の暮らしを楽しみ、その生き方を選び受け入れています。 

それは必ずしも目に見える形で社会的な役に立ったり、誰かのためになったりすることではないかもしれません。 

でも、まいの「当たり前」と思っている価値観に一石を投じるものであり、 

こんな生き方があってもいい。その選択肢を提示できる貴重な存在であったと思います。 

 生きる意味をどこに置くかについて、おニート羊も深く考えるシーンです。 

 

 

 

私は、まいの意思の力が弱いとおもったことはありませんよ 

 このお話の中でまいのママは、登校拒否という選択を取ったまいをおばあちゃんに預けるという選択をします。 

結果的にそれはまいにとってプラスとなるのですが、母親に「扱いにくい子」とされたまいを羊はなんとなく自分のことのように思ってしまいます。 

 

子どもはきっと母親に自分の親であることを誇りに思って欲しいし、自慢に思って欲しい。 

どんなときも見捨てずに、自分が助けを求めていたら手放さずにいて欲しい。 

その期間が満たされて初めて巣立ちができるんだと思うんです。 

まいの場合、ママができなかった分の役割をおばあちゃん担い、まいを信じ続けていてくれています。 

誰かひとりでも、自分よりも自分を信じていてくれる人がいるということはすごく大きなことだと思います。 

 

 

【魔女と見習いの関係性】 

全体を通して、おばあちゃんの接し方は対等です。 

 おばあちゃんは1人の人としてまいを認め、おじいちゃんの誕生日エピソードなど正直な気持ちを言うことはなかなか気恥ずかしくなってしまいそうなことも真剣に話します。 

しかし、だからといってまいからのなぐさめを引き出している訳ではないんです。 

まいがまだ未熟であることを知っています。 

甘やかすのではなく仕事を手伝わせ、先導者としてまいをリードします。 

 

おばあちゃんはとても成熟した人であり、それが魔女と呼ばれる所以なのだと思います。 

 

 

 

【楽に生きられる場所を求めること】 

 この言葉がとても響くと言う人は多いように感じます。 

 

サボテンは 水の中に生える必要はないし 
シロクマが ハワイより北極で生きるほうを 選んだからといって 誰がシロクマを責めますか 

 

きっと水の流れに逆らって生きざるを得ず、疲れてしまっている人にとって救いになる言葉なんだろうと思います。 

自分らしく生きるっていうことが、今はとても難しいですね。 

 

羊もその通りだと思うし、だけどちょっと違うのはきっと羊は  

「必要がなくともちょっと水の中に行ってみたいサボテン」で、 

「ハワイが気になるシロクマ」 

になりたいんだと思うんです。(時として身を滅ぼしかねない好奇心) 

でも気になるからといって無理やり放り出されたりハワイに送られたりするのは勘弁してほしいので・・・。 

自分のベースを作った上で、シロクマだから無理無理と決め付けることなく 

自分の意思で未来を選べる人になりたいですね。 

 

 

 

魔女になるためには"自分で決める" 

 

私も一人の魔女見習い、常日頃から修行中の身。 

魂が成長する過程の中で、いつか西の魔女のような魔女になることができますように。